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根津甚八さん

 山梨県出身の根津甚八さん死去 (享年69歳)  

『甲州人国記 〝映像の世界さらう” 昭和58年』より
 かげりの深い青春像を映像に刻む根津甚八も三十五歳。歯科医の父は山梨市生まれで、一族には著名な漢学者もいた。根津は、母の実家がある都留市下谷の生まれで、小学校二年まで育つ。繊細な表情、いちずな、ともいえる目の色だ。「少年時代から自意識過剰なハグレ者。他人の視線に刺され、監視されている感じでガンジンガラメでした」

  それが、日大三高二年の時、文化祭で二人だけの不条理劇を演じて振っ切れた。「芝居をみられることを承知で演ずることで、他人との世界が縮まった。開放されたんですね。人並みになった、という感じでした」。小さな声でトツトツと語る。芝居との出合いが人生を変えたとしたら、その道を歩むしかない。独協大を中退し、脚本に感動した唐十郎の「状況劇場」に九年。主役俳優だった。「全然食えはしないけど、芝居と『状況』運動の二つしか考えられませんでした」

  NHKドラマ『黄金の日々』の石川五右衛門役で、若い女性のアイドルとなる。五十四年独立宣言。「唐さんの目でなく、自分の目でモノを見られるようになったことは、いいことだと思います。自分で切り開くしかない。ベビーブーム、受験地獄、全共闘をくぐり抜けて来たぼくらの世代を、なんとか表現したい」。「一生懸命生きながらずれちゃう人、ぶきっちょな人間を演じていきたい」ともいった。感性鋭い役者である。資料;朝日新聞

 

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