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甲州人国記(9)

甲州人国記  “天秤棒一本の系譜” ④-2   昭和58年

いまは、無性に懐かしいーと三枝がいう甲州へ、大仏次郎賞作家の近藤信行(51)はこの四月から移り住む「中央公論社で五年間、三枝さんに教わった。
仕事に厳しく、出来る人だった」と近藤。
東京下町育ちだが、甲府盆地から望む南アルプスに魅せられた。
新居は勝沼町の山際。
大仏賞の『小島鳥水―山の風流使者伝』に続いて、山の文学者『深田久弥伝』に取り組む。
「自分で納得のいくものしか書けません」。
山ひだを克明になぞるような近藤の山と人間追及を、甲斐の山が見守る。
母校早稲田の講師。              
甲斐は関東平野とは関東山脈の屏風で隔てられた別天地。
四囲の動かざる山脈が強い郷土意識を育てた。
笹子峠を抜けると、ああ故郷に帰ったなあと感ずる」と、地理学の千葉大教授清水馨八郎(63)。
清水は、「地理学的思考」で、「東京の一票は〇.四七票」と選挙区制の不合理を突いたり、「政治は車のための道路行政から鉄道行政に転回せよ」と、「車はもう足りてるゼーション」を唱えたり。
「地価暴落論」をも提起して波紋を投げた。
運輸省の航空審議会委員で、「航空新幹線時代」を予測する。
「この空の時代に、大阪都心から六十数キロも離れた関西新空港構想など、国費と時間の大乱費です。
航空議員族がいないから、航空政策は立ち遅れた」と熱っぽい。
派手な言動に「軽八郎」の名もあるが、「先物買い」は先祖の甲州財閥「天下の雨敬」譲りかもしれない。
雨敬は雨宮敬次郎
やはり行商から身を立て、「投機界の魔王」の資力を鉄道、発電、鉱山に注ぎ込む。清水はこの豪放な事業家の実姉のひ孫で、塩山市生まれ。
『雨敬伝』のあと書きで、「その鉄道国有・広軌論、外資導入論は現在に通ずる卓見」と思いこめた。
(敬称略)資料;朝日新聞  甲州人国記 “天秤棒一本の系譜” ④ 昭和58年より。

甲府盆地から望む南アルプスに魅せられた近藤信行
清水    
塩山市生まれの清水馨八郎。
近藤

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