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甲州人国記(25)

甲州人国記  “映像の世界さらう” ⑪-2   昭和58年                               

かげりの深い青春像を映像に刻む根津甚八も三十五歳。歯科医の父は山梨市生まれで、一族には著名な漢学者もいた。根津は、母の実家がある都留市下谷の生まれで、小学校二年まで育つ。繊細な表情、いちずな、ともいえる目の色だ。「少年時代から自意識過剰なハグレ者。他人の視線に刺され、監視されている感じでガンジンガラメでした」
それが、日大三高二年の時、文化祭で二人だけの不条理劇を演じて振っ切れた。「芝居をみられることを承知で演ずることで、他人との世界が縮まった。開放されたんですね。人並みになった、という感じでした」。小さな声でトツトツと語る。芝居との出合いが人生を変えたとしたら、その道を歩むしかない。独協大を中退し、脚本に感動した唐十郎の「状況劇場」に九年。主役俳優だった。「全然食えはしないけど、芝居と『状況』運動の二つしか考えられませんでした」
NHKドラマ『黄金の日々』の石川五右衛門役で、若い女性のアイドルとなる。五十四年独立宣言。「唐さんの目でなく、自分の目でモノを見られるようになったことは、いいことだと思います。自分で切り開くしかない。ベビーブーム、受験地獄、全共闘をくぐり抜けて来たぼくらの世代を、なんとか表現したい」。「一生懸命生きながらずれちゃう人、ぶきっちょな人間を演じていきたい」ともいった。感性鋭い役者である。
甲府市出身の当代の人気者に、歌手の田原俊彦(21)。一昨年の甲府公演では、ケガ人が出るほどの過熱人気だった。映像時代のお落とし子も、もうすぐ二十二歳。大人への道が待っている。
塩山市出身のシナリオ作家竹内勇太郎(62)は、昨年七月でテレビドラマ執筆の「休業宣言」をした。この二十数年間に、『赤胴鈴之助』『東京の人』『三匹の侍』など三千本。「ノルマに追われて消耗品になってしまう。ここらで出直さなければ」。甲州ゆかりの『樋口一葉』の戯曲に取り組む。
(敬称略)資料;朝日新聞
根津  稲村

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