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甲州人国記(26)

甲州人国記(26)  “映画に燃やす情熱” ⑫-1   昭和58年 
                              
敗戦後の若者たちが背負った重荷と哀切を、木村功演ずる犯罪者を通して描いた映画『野良犬』。
シナリオ作家菊島隆三(69)は、黒澤明が監督したこの一作で世に出ている。
『男ありて』『六人の暗殺者』『女が階段を上る時』『用心棒』『天国と地獄』『赤ひげ』。
菊島の作品をたどってくると、並みでない現実凝視力を持った作家のさめた目が浮かんでくる。
「甲府の菊島さん」と呼ばれた代々の呉服問屋の生まれ。
文学少年は、「小説家なんてヤクザな商売はダメだ」といわれて育った。
「どうもうけるかの話しか聞けない環境でした」。
旧制甲府商業を出て文化学院に進むが、父亡き後、兄にも逝かれ、次男は家業を継ぐ。
帳場に座って「活字を見てれば時間が過ぎる」と文学書をむさぼり読む。「蔵まで売って、気が狂ったかといわれましたよ」。けれど「門前の小僧」は、実業の世界の才覚と機敏を読み取る目を育てていた。
「鉄道、電気事業には体当たりしていった初代甲州財閥のエネルギーを映画にしたい」
菊島の最新作は、同郷のサンリオ社長辻信太郎(55)が勧進元となった映画『父と子』(原作・水上勉)のシナリオである。
監督も甲府出身の保坂延彦(38)
化学工業の専攻の辻は、元県庁役人。奇才縦横の型破りで、公務員の規格にははまらず、三十五年、サンリオの前身会社を一人で創設した。
ハイカラでかれんなアイデアを売る資本金百万円の会社は、あっという間に急成長する。
(敬称略)資料;朝日新聞                           
  

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