FC2ブログ

ちょっくら よっていけし

https://mh182130.jp

甲州人国記(32)

甲州人国記  “「病む」を見つめて” ⑮-1   昭和58年 
                              
十年前、舞台の奈落への転落が参議議員八代英太(45)の人生を変えた。背骨の中の神経の束が切れた。再びつなぐことは出来ない。立てず、歩けず、排せつも思うままにならない。車イス人生のスタートである。バクチと女好きだったタレント八代が、いま、いつも胸の中でかみしめるのは、「苦しみの中から喜びが生まれる」という言葉だ。
「死んだ方が楽だ」という奈落の底から見た人生は、まるっきり違っていた。道路、乗り物にせよ、公共しせつにせよ、この世は大人の平均人間を標準に作られている。しかし、障害者や大人の自立を助けない社会が、果たして正常なのか。弱者切り捨ては、社会的マイナスではないのか。いや、全ての人間が、障害者、弱者予備軍ではないのか。「やれば出来るんです。国会議事堂も車イスで入れるようになったが、最初数億円かかるといわれたのに五千四百万円ですんだんです。
その八代に、参院全国区の新選挙制度は、弱者、少数者の声を締め出す「ファシズムへの突破口」と映る。「優秀人種」を呼号し、「壮健な兵士」づくりを国是としたのが、ナチズムであり日本軍部だった。「車イスから挑戦します」。八代町の農家の生まれで、八人兄弟の六番目。「転んでもタダで起きるなと育てられました」
「戦時下では、医学部が何をいおうと、弱者、病人は見殺しにされていった。弱者の側から見れば、医療と社会のひずみはスケスケです」。こんな立場から、医師、医事評論家の川上武(57)は、大作『現代日本病人史―病人処遇の変遷』をまとめた。自分で診察し治療する医師として、「よらしむべし知らしむべからずの医療にするな」が一貫した発言。若いころ大病院で、腎炎を結核と誤診された。「医療をきちんとする基準は、管理でなく技術なんです」
「こんな仕事を続けなければボクも高額所得者になったな、と医者の女房とよく笑いますよ」「所得と、わが子をどのように医者にするかで躍起のゼニゲバ医師たちの腐敗が、医療差別の裏にあるんです」。塩山市生まれ。
(敬称略)資料;朝日新聞

 八代  
   川上

PageTop